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作品 Wroks

© 上海アリス幻樂団 © Opera Dots © YHIAISM
 


『幻想郷への組曲』デジタルパンフレットより抜粋

― 本公演は2021年12月23日に、霞町音楽堂という、音楽家のためにつくられた東京西麻布にある会場で行われました。そこで生まれた音楽は、まるで奇跡のよう
でした。日本を代表する芸術家のチームが集結したことはもちろん、通常それだけでは起こり得ない、自分たちではない、何か大きな力の存在を感じるようなひとときでした。

公演での重要なテーマとなるのは、人間と文明の関係です。人類は、大昔、道具をつくりはじめ、自然に従うのではなく、コントロールする方法を探り始めます。農耕による食糧生産もその一つです。もちろん、言葉も文明の一つです。そして、近代以降には、科学技術というものが、人類を豊かにするものだと信じて疑わず、資本主義社会と相乗効果を築きながら発展を続けてきました。

ゲームとは、科学技術という、文明の上に成り立った電子の世界です。製作者の思想表現が可視化された、作品とも呼べるものもあります。もちろん、人間がつくった世界ですので、人間が好きに調整でき、操作できます。しかし「ゲームの中に存在する生き物、人々は、そのようにしてつくられたことをわかっているのだろうか?」子供の頃に、そんな疑問を持ったことがありました。同時に、「では、この、我々が生きる世界とは誰がつくったのか。」 そんなことを考え続けながら、大人になりました。

 

私は1987年生まれ、科学技術の恩恵を大いに受けた世代です。歳を重ねるごとに、あらゆることが便利になっていきました。季節による温度変化にも、ほぼ無縁の生活をおくることができています。携帯電話、スマートフォンが開発され、日々の生活もがらりと変わりました。自分が死ぬまで、このような便利な変化が続いていくものなのだと、信じていましたし、今もやはりそう思ってしまいます。

「人間が自然保護とか言っているのがちゃんちゃらおかしい。自然に保護されている身分の癖に、上の立場から物を言うとは……。」そんなセリフが、東方Projectにはあります。恥ずかしながら子供の頃、地球は、人間のために存在する世界だと考えて疑いませんでした。「果たして本当にそうなのか?」と、当時の自分に問いかける気持ちで、本公演をプロデュースしました。

そのような題材を扱う上で、「東方Project」以外のゲームは有りえませんでした。​そして、道具である楽器を介す音楽だけでは、この題材を扱いきることはむずかしく、肉体から発せられる声・歌唱、それを補完する言葉・物語を用いて、本作を仕上げました。

​お楽しみ頂けますと幸いです。

​泉志谷 忠和

 

 

 

あらすじ

ゲームの「プレイヤー」(カウンターテナー)と、ゲームの「キャラクター」(メゾソプラノ)が、固有名詞を有さず、それらの象徴として登場します。その2人が、突然、「画面(壁)」を通じ、対話ができるようになるところから、物語ははじまります。

「プレイヤー」は、資本主義に疲弊した都会住まい、いわゆるエリートで、被爆者の家系です。「プレイヤー」は子供の頃に聞こえていた「銀河のような歌声」が心から消え、なぜ生きているのかわからない、と悩みます。唯一、ゲームをしている時だけ、自分は自分でいられると、心を保っています。

その様子を画面を通じ見つめていた「キャラクター」。「キャラクター」は、「プレイヤー」の子供の頃を知っています。夢を持ち、健やかに過ごしていた頃のことです。その後、一生懸命に勉強し、良い大学に行き、良いところで働く、しかし、徐々に心を殺していく「プレイヤー」の身を案じます。それは「あなた」ではなく、 "「あなた」というまぼろし" だ、と歌います。

「プレイヤー」が心苦しく涙を流すと、それに呼応するように世界が動きだします。「キャラクター」が「山の音(ね)」に願いを込めることで、二人は、お互いの存在を認知し、話すことができるようになります。

二人は、おおいに喜び、お互いが、お互いの世界のことを話しはじめます。生まれ故郷のことや、文化について、そして「戦い」のあり方についてを共有し、徐々に心と心が通じ合っていきます。「プレイヤー」は、いつか、壁を壊して、二人で生きたいと、願いはじめます。

​二人の行末はどうなるのでしょうか。そんな物語です。

序曲

第一幕 出逢いについて

第二幕 繋がりについて

第三幕 戦いについて

第四幕 さようならについて
 



文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業

初演:2021年12月23日 於 霞町音楽堂(日本・東京都港区)


出演:キャラクター 山下 裕賀(メゾソプラノ) プレイヤー 村松 稔之(カウンターテナー)
石川 征太郎(指揮者) 尾池 亜美(コンサートマスター) 對馬 佳祐(ヴァイオリン) 中村 翔太郎(ヴィオラ) 荒井 結(チェロ) 地代所 悠(コントラバス) 梶原 一紘(フルート) 浅原 由香(オーボエ) 中川 日出鷹(ファゴット) 濵地 宗(ホルン) 大家 一将(パーカッション)
中山 晃子(Alive Painting)

音楽
作曲:ZUN 『東方Project』より
全編曲:松﨑 国生

会場:霞町音楽堂 為国健太

舞台監督:相馬勝己 佐伯美佳 伊師朱美 ​
協力:illuCalab. EIKI`

協賛:デルタ電子株式会社

制作協力:株式会社東京コンサーツ 浅野 剛  SHALONE株式会社 水野 彰子

運営協力:ツカノマレーベル 小牧 愛 

進行協力:神戸市会議員 上畠 のりひろ 
キービジュアル:ヒトこもる

イメージビジュアル:箱星ぽた

ピクセルアート:モケモ
録音・ミックスエンジニア:涌井 良昌

マスタリングエンジニア:森﨑雅人
撮影監督・映像編集:中島 唱太

撮影:吉田悠太 桜井秀明 川島悠輝
英語訳:坪田 麻里

脚本・詩・構成:川宮 史紀仁 『素粒子とドット』より
プロデュース・企画・演出:泉志谷 忠和
主催:YHIAISM株式会社

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Bad Apple!! Touhou Project  Flamenco Orchestra 東方Project オペラ公演『幻想郷への組曲』世界配信記念音源 『幻想郷のフラメンコ弦楽団』より
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Opera Dots(オペラドット)東方Project オペラ公演 幻想郷への組曲 予告 Ver.01
00:44
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『幻想郷のフラメンコ弦楽団』より 
作曲 ZUN
編曲 森田悠介

演奏:徳永兄弟 森田悠介
マスタリング:森﨑雅人
音楽監督:森田悠介
キービジュアル:ヒトこもる
プロデュース:泉志谷忠和

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『いろはにほへと弦楽四重歌曲集』
日本の伝承遊びより
​第二曲「この世について」抜粋

 

自分とは、生命とは、この世界とは何か。

自然科学や、東洋思想、西洋哲学、文化芸術においても、永遠の題材であり、問いでもある。それらを解き明かそうと、人類は長い歴史の中で考えを巡らせてきた。その答えを求める時、言葉だけでは不完全である。人の声を祖とする言葉は、その音を伴い、はじめて心が花ひらく。

本公演では、子供心に眠る「伝承遊び」の追憶を、詩とし、楽譜とし、演奏を経た音楽とすることで、探求の旅路を作品とした。

音楽と言葉を伴う歌曲の世界、そして、本日の演奏者でしか生まれ得ない音楽をお楽しみください。

​泉志谷忠和(プロデュース)
 

「言霊」という言葉がある。言葉は大きな力を持つ。それは幻想ではなく日常の中、対話の中に常として存在する。「わらべうた」とはその言葉の強烈な意志が、世へ歌として現れたモノだ。この意志は祝福か、それとも呪いかーー。日本人の内に古来より宿り、受け継がれてきた「わらべうた」の世界に、川宮史紀仁が新たな詩を紡ぎ、それらを元に完成した曲が「いろはにほへと弦楽四重歌曲集」だ。編成は私の「声」である弦楽四重奏、そしてメゾ・ソプラノによる。日本の誇る超一流の演奏者達による「土」の饗宴をお愉しみ頂ければ幸いである。

松﨑国生(作曲)

本詩を書くにあたって、あらゆる「声」に耳を傾けることからはじめた。先ずは、幼少期の自分の声。響く感情、風や夕暮れの音、木々や川のささやき、野生動物の瞳が放つ心……。あらゆるものと同化しては、そこにある「声」を日本語に置き換える営みを繰り返した。そのうち、何の「声」を聞いているのか、わからなくなってきた。ふと、これは「素粒子の声」ではないかと思い至った。そのまま本詩の題名とした。ある日、嵐山の竹林を歩き、言葉の置き換えをしていたら、とある人から「竹の花」の話を聞いた。およそ100年に一度咲き、竹林の全てを枯らすという。「最後は竹の花が咲く。」公演前に言えることはその程度でしょう。

川宮史紀仁(詩)

 



文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業

詩:川宮史紀仁
作曲:松﨑国生 

公演レポート

序曲
第一曲「こども心とおとな心」
第二曲「この世について」
第三曲「生きるとはなにか?」
第四曲「死とはなにか?」
第五曲「わたしとはなにか?」

アンコール曲
「4つの日本民謡の主題によるパスティーシュ〜無伴奏ヴァイオリンの為の〜」 ​
作曲 松﨑国生 演奏 石上真由子

公演日 2022年8月14日(日) ​
開場時間 14:30 開演時間 15:00 ​
会場 ヤマハホール

出演 
山下裕賀(メゾソプラノ)
石上真由子 對馬佳祐(ヴァイオリン)
安達真理(ヴィオラ)
富岡廉太郎(チェロ)

プロデュース 泉志谷忠和
企画・運営 YHIAISM株式会社 ​
後援 文化・芸術三田会 ​
協賛 Missinglink Project
主催 一般社団法人日本文化創造研究所

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